「豊かさ」の本質を問い直す

ケースD ―見えない洪水―」では、
人々を脅かす世紀末の様子が描かれました。
あくなき利益の追求や経済成長が自然環境を汚染し、
結果、人類は大混乱に陥る。
糸川博士は、物語を通じて、私たちのあり方に警鐘を鳴らしました。

この小説をリリースしてから2年後の1981(昭和56)年、
糸川博士はインドを訪れています。

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「第三の道~インドと日本とエントロピー~」 糸川英夫 CBS・ソニー出版

博士がインドを訪れたのは、当時、経済発展の対局にあって、
自然に寄り添って歩むインドに、
日本が今後、目指す方向性についてのヒントを
見つけたいと思ったからです。

当時、インドの多くの人々は、
テクノロジーとはほぼ無縁の暮らしをしていました。

機械を使わない、人力が主体の労働。
大人と同様に働く、生産性の高い子どもたち。
動物たちとの共存・・・。
それらはことごとく、日本と正反対のありさまでした。

博士は、インドの人々の暮らしの中に、
環境に歩調を合わせて資源をむさぼらない
高度な文化を見たのでした。

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