1950年に朝鮮半島で勃発した朝鮮戦争の特需を受け、
日本は戦後の混乱期から高度経済成長期へと
あゆみを進めました。
この時代、日本人が豊かさの象徴として
憧れた電化製品がありました。
電気冷蔵庫、電気洗濯機、白黒テレビ。
「三種の神器」と呼ばれました。
やがて、人々の暮らしがさらに豊かになると、
「三種の神器」は車 、エアコン、カラーテレビへと変わります。
21世紀の初めには、小泉元首相が施政方針演説の中で
「食器洗い乾燥機・薄型テレビ・カメラ付携帯電話は
新三種の神器」と命名しましたが、その時代も過ぎていきました。
今、国民の多くが同じ希望を重ねて、
一堂に注目し、憧れるような家電製品はなかなか見当たりません。
でも、ひょっとすると、今後、出てくるかもしれません。
古事記によると、「三種の神器」は
八咫鏡(やたのかがみ)八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
・草薙剣(くさなぎのたち)のことで、
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天孫降臨にあたり、
天照大御神から譲り受けた宝物と伝えられています。
それぞれの宝物にまつわる興味深いエピソードもありますが、
鏡、勾玉、剣の三点の宝物に共通しているのは、
「人の手によって磨かれたもの」ということです。
世の中に送り出された家電製品は、
私たちの仕事や暮らしを楽にし、
そしてワクワクさせてくれています。
でも、それに加えて「人の心を磨く」ような商品が出たら、
私は急いで売り場を見に行きたいと思うのです。
一見、閉塞感が漂う「ものづくりの世界」。
でも、実は希望にあふれる、伸び代ある世界だと私は信じています。