最近、日本酒をたしなむようになりました。
材料がシンプルで、ふだんの和食と合うからです。
日本に酒があったことを伝える最古の記録は、
西暦1世紀に記された中国の思想書『論衡』にあるようです。
また、須佐之男命(すさのおのみこと)が、
八岐大蛇(やまたのおろち)にお酒を飲ませ、
酔わせて退治した古事記の物語もあります。
悠久の昔から続いている日本の酒文化も、魅力のひとつです。
百貨店の売り場や酒蔵、
こだわりの日本酒を仕入れてくれる割烹をめぐって、
少しだけ、でも じっくりと楽しみます。
お酒を口に含んで、味わいや、鼻と喉に抜ける香りに集中していると、
漫画「神の雫」のように、脳裏に景色が浮かぶことがあります。
それは、地域で大切に受け継がれている神社の景色だったり、
静かな土壁の街並みだったり、
山道のほとりを流れる石清水の眺めだったり、
あるいは、春の青空に映える桃の蕾だったり。
材料は米と酵母と水だけ。
でも、確かに、それ以外の「何か」が宿っていると思えてきます。
酵母やコメの品種、つくられた土地と気候、
仕込みの時期や方法、作り手の腕、そして頂く杯や温度・・・などで、
コメのお酒がこんなにもさまざまな味わいになっていくのだ、と
いつも驚きます。
でも、何も浮かばないお酒もあります。
または、ぐだぐだの宴会風景とか(笑)。
それはそれで、味わいがあります。
見える「お酒」を通じて、見えない「息吹」を楽しむことができます。
まだまだ道半ばの新参者ですが、この趣味を気に入っていて、
ライフワークになりそうです。