歌をつくるとき、
ふたつのやり方があります。
一つ目は、歌詞からつくる方法。
そして二つ目は、メロディーからつくる方法。
詞から書き始めるアーティストもいれば、
曲が先にやって来るというアーティストもいます。
どんな方法でつくられた歌も、
詞と曲が一体となって、私たちの心を彩ってくれます。
これが、ものづくりの世界だったら、どうでしょうか。
独自の「技術」を磨き上げて世に問うのか、それとも
「市場」の声に忠実なものづくりに徹するのか。
消費者は気まぐれです。
それに時々、消費者は自分の欲しいものがわからないことがあります。
一方、技術を全面的に打ち出したものづくりによって、
面白いものができるかも知れない反面、
渾身の努力で世に送り出したのに、反応が冷たかった・・・
ということもあるでしょう。
技術者は、他を圧倒するような独創性の高い技術を
世に出したいと願っています。
しかし、研究開発資金がいつも用意されているとは限りません。
当座の業績に貢献しないと経営が判断すれば、
予算を充当してもらえないかも知れません。
一方、市場に目を向ければ、
売上を高めることができるかも知れません。
しかし、「独自の価値」を世の中に打ち出せず、
価格競争に巻き込まれて結果的に立ち行かなくなるかも知れません。
そして、長い目で見れば、「消費者のために…」と行ったことが、
自社だけでなく、業界全体の活気を消してしまうかも知れません。
「技術」も「市場」も、大切な目配りの要素です。
でも、本当に大切なのは、ものづくりに対して
自分たちが「どんな思いを込めているか」をしっかりと問い、
伝えていくことではないでしょうか。
「技術」と「市場」のバランスを取るというよりも、
「自分たちらしさ」をとことん突き詰めていく。
それは他の誰にも真似のできないストーリーになって、
人の心をとらえて離さなくなると思うのです。
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