オスカー・デ・ラ・レンタの逝去を悼んで

ファッション・デザイナーのオスカー・デラ・レンタが、
10月20日に他界しました。

オスカー・デ・ラ・レンタは日本には直営店がなく、
あまり馴染みがないブランドです。

しかし、アメリカではファッション界の中心にあるブランドであり、
アメリカのシンボルのひとつ。
ホワイトハウスからレッドカーペットまで、
歴代のファーストレディやセレブリティたちに愛されています。

oscar-portrait(Oscar de la Renta, 1932-2014)

ドミニカ共和国で生まれたオスカー・デラ・レンタは、
絵画を学ぶためにスペインのマドリッドに渡り、
勉強のかたわら、新聞や雑誌に
ファッション画を提供します。

そのスケッチがスペイン駐在アメリカ大使の婦人の
目にとまったことから、彼のキャリアは一気に上昇気流に。

スペインではバレンシアガ、
パリではランバンでクチュールを学び、
「これからはプレタポルテ(既製服)だ」と、
1965年にアメリカに渡り、
ジェーン・ダービーのブランドを譲り受け、
Ocsar de la Renta」のメゾンを立ち上げ、
半世紀にわたり、現役で活躍してきました。

彼の生まれ育ったカリブ海の光と、
ヨーロッパでのキャリアで培った色彩感覚は、
鮮やかな色から控えめな色まで
服に多彩な色づかいを取り入れただけでなく、
まとう人にエレガントな知性と洗練された雰囲気をたたえさせ、
「社会的に成功した女性」のイメージを添えてくれます。

そんな魅力から、アメリカ女性の
表舞台を飾る代表的なブランドとして、
オスカー・デラ・レンタは知られているのです。

オスカー・デ・ラ・レンタ
2015年春 プレタポルテコレクション
(style.com)

ムービー(live.oscardelarenta.com)

知的で上品で優美なデザインが
上流社会の女性たちが社交界で期待される
イメージ演出を後押ししてくれ、
それゆえに多くの女性たちに愛されたデザイナーでした。

アメリカ・ヴォーグ誌の編集長、アナ・ウィンターは、
「彼のデザインは、彼の楽観的で、愉快で、快活で、
ロマンチックな人柄を反映したものでした」
と追悼エッセイのなかで触れています。

オスカー・デラ・レンタは、
「ファッションとは、あなたが生きたいあり方そのものなのだ」と
教えてくれているように思います。

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