今日は、ちょっとした色に関するコラムです。
色彩学では、「色」を見るために必要な3要素として、
- 光
- 物体
- 目
を挙げています。
ところが、最近の科学では、「色」を見るのに
第4の要素が影響しているとわかりました。
それが、今回取り上げる「言語」です。
私たちが生まれて間もない、
コトバを知らない頃に見ていた色と、
言語を習得した後で見ている色は、
同じ色でも、脳の中では違う回路によって
処理されていることが明かになっています。
さて、私たちが基本色としている色は、つぎの11色です。
西洋の色に日本語の色名が対応していて、
日本、西洋ともに、基本色は変わりません。
しかし、まったく違う色の尺度を持っている人々もいます。
ナミビアのヒンバ族は、基本色は5色と定義しています。
この基本色ひとつひとつが、なんと、
グラデーションを描いているのです。
- [surendu] ピンク色からオレンジ色にかけての色
- [zoozu] 濃紺から黒にかけての色
- [vapa] 白からミルク色にかけての色
- [borou] 緑色から青にかけての色
- [dumbu] 緑色から茶色、深い赤にかけての色
この中の、[borou]と[dumbu]に含まれる緑色は、
それぞれ違った緑色なのです。
だから、ヒンバ族の人たちは、
私たちが見分けづらい緑色どうしを
別の色としてスパッと識別することができます。
しかし、彼らは同じ原色に属する[borou]の中の
緑色と青色の見分けに、
とても時間がかかってしまいます。
彼らの視覚が身体的に優れている訳ではなく、
言語によって、わたしたちと違っているということなのです。
近い将来、私たちが色の定義を変えることで、
新しい色が識別できるようになる日が来るかも知れませんね。