人はどんな時に、「香り」のおしゃれを楽しむでしょうか。
自分のおしゃれを完璧にしたいとき。
自分自身のペースを取り戻したいとき。
特別な空気感に包まれたいとき。
恋をしたとき。
一歩、前に進む勇気がほしいとき・・・
高貴な香りは太古から、
神に献上されてきました。
はじまりは花や野草、樹脂などをそのまま供え、
やがて芳香性の樹脂を燃やして、
かぐわしい煙を神々に捧げたようです。
19世紀の終盤まで、香水は神々と王侯貴族のものでした。
化学技術が進んで大量生産が可能になり、
多くの人が気軽に香りを楽しめる現代でも
香水はおしゃれの仕上げを飾る、優雅で贅沢なもの。
香水の種類は多種多様なだけでなく、
同じ銘柄でも、まとう人によって違う香りに変化していくため、
実際に試して自分らしい香りを見つける旅は、
楽しくも複雑な発掘作業でしょう。
だから、ほどよい距離感で、
自分らしく香水を楽しんでいる人には、
香りと一体になったその人の魅力が醸し出されて、
知的な美しさを感じます。
香水は、主に次のシーンで使われると言われます。
・なりたい自分に近づくために
・仕事中などのオフィシャルな場面で、好印象をつくるために
・休日やプライベートを楽しむとき、自分のために
・フォーマルなシーンや恋人と過ごす時間のために
上の四つの香りをすべて持つ人は、
自分のスタイルを確立していて、
おしゃれを楽しんでいる人だと思います。
そこで、今回はなりたい自分に近づくための香りの
イメージの選び方について、書いてみます。
■STEP1■ あなたのキャラクター診断で、香りのイメージを導き出す
あなたは、香りをまとうことで、
どんな理想の自分を手に入れたいでしょうか。
なりたい自分のイメージ描くことで、
今のあなたに必要な香りのイメージを
絞り込むことができます。
【1】自分自身の価値観を大切に、抱く信念に従って過ごしたい
→[キーワード] エレガント、ナチュラル、シック、クラシック
⇒[香りのイメージ] 穏やかに過ごせる、気持ちを落ち着かせてくれる香り
・・・リラ、シャクヤク、マグノリア、スズランなどの白い花々、
ライムやレモンなどの酸味のある柑橘類。
【2】驚きや発見に触れ、自分を克服し、結果が見えない挑戦を続けたい
→[キーワード] ダイナミック、ワイルド
⇒[香りのイメージ] 旅立ちを予感させる香り
・・・クローブ、シナモン、アンバー、パチュリ、エキゾティックな花
【3】周囲から認め受け入れられ、素直な気持ちで物事に向かいたい
→[キーワード] プリティ、ロマンティック、クリア、カジュアル、ナチュラル
⇒[香りのイメージ] さわやかで軽さのある、瑞々しさを感じさせる香り
・・・両手いっぱいのバラの花束、フリージア、オレンジ、グレープフルーツ、
ザクロなど、フレッシュフルーツのカクテル。
ハーブ、グリーン、お菓子、石けん、清潔なリネン、
さわやかで軽さのある、みずみずしさを感じさせる香り。
【4】女性としてのセクシーな魅力を高めて、愛される喜びを感じたい
→[キーワード] ゴージャス、ワイルド、ダイナミック
⇒[香りのイメージ] 触れたくなるような、誘惑の香り
・・・ジャスミン、イランイラン、ガーデニア、アニマリックなアクセント、
アンバー、ムスク。
【5】揺るぎのない自信を手に入れて、誇り高くいたい
→[キーワード] シック、クラシック、フォーマル、クラシック&ダンディ
⇒[香りのイメージ] まだ一般にはあまり知られていない、あなたが独占できる香り
・・・チュベルーズ、貴重な花々のブーケ、限定の香り、マネされにくい香り。
【6】自然や思い出を大切に、穏やかな時間を過ごしたい
→[キーワード] ナチュラル、カジュアル、ロマンティック
⇒[香りのイメージ]過ぎ去った時を思い起こさせる豊かな香り
・・・マリン、アクア、バンブーなど海、水辺、森、大地、風を感じる香り。
バニラ、ベビーパウダー、グリーンティ、紅茶の香り
【7】新しい情報にいち早く触れ、得心のいくまで物事を追求したい
→[キーワード] シック、クールカジュアル、モダン、ダンディ
⇒[香りのイメージ]未来を予感させる最先端の香り
・・・新作、発表されたばかりの香料や新しい香調。
■STEP2■ 香りのベースとなる「ノート」を決める
ノートとは、香りの調べ(香調)を表します。
あなたがまといたい香りのベースとなる「ノート」を次の中から選び、
香りの大きな方向性を決めましょう。
【1】フローラル
花屋さんを訪れた時のような、華やかさと新鮮さ、瑞々しさ感じさせる香り。
清楚な香りからエレガントで優しい香り、ゴージャスな香りまで
様々な種類があります。
【2】オリエンタル
「東洋的」と言う意味の、エキゾティックでグラマラスな香り。
甘く、重く、濃艶で、その人の魅力を強く印象づけてくれる香りです。
【3】シプレ
地中海のキプロス島にちなんだ香り。
地中海周辺の柑橘類や花、樹木などに
オークモスという苔の一種の香りをブレンドした、
温かみのあるドライな香りです。
最も端正で、気品と知性、そして静けさを感じさせる香りでもあります。
【4】アロマティック
南フランスで愛されてきたハーブを活かした香りで、
すがすがしい生命力と活力を感じさせてくれる香りです。
【5】シトラス
レモンやベルガモット、オレンジ、ライムなどの柑橘系の香りです。
清潔感と、明るく親しみやすい印象を感じさせてくれる香りです。
【6】マリン
空気や水、そして海や空を感じさせる、透明感のある香りです。
地中海の海上で感じるオゾンのすがすがしさをイメージさせ、
瑞々しい魅力や、フレッシュな穏やかさを感じさせてくれる香りです。
【7】フゼア
ラベンダーやゼラニウム、オークモス、
クマリン(桜餅の桜の葉の香りににた人工香料)などの
香りから成り立つ、理知的な印象をもたらす香りです。
■STEP3■ 「自分の見られたい印象」を加えるノートを決める
自分をこのように印象づけたいと思う香りを、次の中から選んでみましょう。
【1】包み込まれる温かさや安心感、穏やかさ、女性らしさのある印象
→パウダリー
粉おしろいのような甘く、乾いた感じの柔らかい香りです。
【2】安心感と親しみやすさのある印象
→フルーティ
ピーチやアップル、ストロベリー、ブルーベリー、
マンゴー、バナナ、パイナップルなどり果物の香りです。
【3】幸福感にあふれ、愛される印象
→グルマン(「美食家」)
キャラメル、チョコレート、綿菓子などの、
濃厚な甘みを感じさせるお菓子の香りです。
【4】開放感と爽快感があり、行動的な印象
→グリーン
青葉を指先で揉んだときに感じられる香りです。
【5】力強くエレガントで、温かみと包容力のある印象
→ウッディ
鉛筆を削ったときに感じられる木の香りです。
【6】ホットさやクールさを感じさせる、刺激的な印象
→スパイシー
シナモン、クローブ、ナツメグ、ペッパーや、コリアンダー、
カルダモン、ジンジャーなどのスパイスの香りです。
【7】官能的な印象
→アニマリック
ムスク(麝香)、シベット(霊猫香)、
カストリウム(海狸香)、アンバーグリス(竜涎香)など。
現在では、動物性の天然香料は動物保護の視点から使われておらず、
人工香料や植物性の香料が使われています。
以上の3つの要素を、
百貨店のフレグランスコーナーやブランドのカウンターで伝えれば、
それに近いイメージの香水を選んでもらえることでしょう。
春に向けて、なりたい自分を叶える香り探しを、
今からじっくり始めてみませんか。
※理想の香水の選び方について、もっと詳しく知りたい方は、
地引由美さんの「パーソナルフレグランス」
という本をお薦めします。
自分らしさを表す香水の選び方だけでなく、
年代別・男女別のおすすめ香水や、
香りのまとい方なども詳しく網羅されていて、
とても読み応えのある一冊です。
(参考図書)
・ロジャ・ダブ「フォトグラフィー 香水の歴史」原書房
・地引由美「理想の香り パーソナルフレグランス 愛される香水選びのルール」講談社