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色の力を取り入れる~赤~

近隣のお庭に梅の花がほころび始め、
まだまだ寒い日が続くものの、
空気が春の訪れを予感させる時期となりました。

今日から、あなたを癒やす色の効果について、
書いてみたいと思います。

今回は、「赤」についてとりあげます。

赤い色は、出産やけがなどの際に流れる血を連想させ、
生と死を喚起することから、
逃げるか戦うかという判断を迫る色。

赤は興奮作用を促す神経を刺激し、
血圧や体温を上昇させ、呼吸数を早め、
気分を高める効果があるといわれています。

生命を司る赤は、
古今東西で、治療や魔除けに使われてきました。
五行陰陽の思想が普及している中国では、
赤は、陽の気を高めて身体を温める色とされています。

また、赤い服には着る人を周りから際立たせ、
優位性や権力、注目をもたらす効果があるといわれています。

選挙演説などの大切なプレゼンテーションや、
ここ一番という時の交渉時に赤をまとうと、
相手への圧力を高め、自分の気持ちを前へと後押ししてくれます。

最近、仕事や恋愛でどうもうまくいかないな・・・という時に、
バッグやルージュやネイル、
男性ならネクタイなどに取り入れると
良いでしょう。
ちなみに、ワンピースやスーツなどの広い面積で赤を使うと、
「私はナンバーワンよ」という周囲への
暗なるメッセージになります。

赤いアイテムは、感情をあらわにしない人は
あまり持っていない傾向があるそうです。

そんな、周りから見ると穏やかな人も、
心の中ではストレスをあまり抱えると、
爆発してしまうことも。
そんな時、感情を発散させてくれる赤と、
感情を鎮静してくれる黒の小物を身につけておくと、
気持ちを少し落ち着かせることができます。

一方、赤を使ってはいけないのが、
お詫びの場面です。
ほんの少しでも、お詫びをする人が
赤をまとっていることに気づかれると、
「何かあったら争う気だ」という印象を与え、
場の決着を延期させてしまうことも。
お詫びの場に自分を奮い立たせるのであれば、
自分だけが見えるように、
密やかに赤を携えていくのがいいでしょう。

[スプリングタイプの赤]
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朱赤のような、鮮やかで少しだけ黄みがかった赤は、
スプリングタイプのあなたを血色良く、
つややかに見せてくれます。

[サマータイプの赤]
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ひんやりとした青みを含む柔らかい赤は、
サマータイプのあなたを、
奥行きを感じさせる
美肌に見せてくれます。

[オータムタイプの赤]
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こっくりとした完熟トマトのような赤は、
オータムタイプのあなたを健康的に、
しっとりとした肌に見せてくれます。

[ウィンタータイプの赤]
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青みを含む鮮やかな赤は、
ウィンタータイプのあなたを
艶やかにドラマティックに彩ってくれます。

こんな寒い時期こそ、赤い色から
エネルギーをたくさん分けてもらいたいものです。

皮膚からも取り込まれる「色」

色は、光のある場所で、
視覚(眼)を通じて認識されるというのは、
現代の、一般的な見解です。

色彩検定やパーソナルカラーの学習でも、
色彩を認識するために必要なのは
「光」と「物体」と「眼」の三つの要素である、と
学びます。

しかし、現代の科学ではまだ解明されていないことが、
色彩の世界にもあるものです。

それは、人間を含む生物が、皮膚を通じても、
色彩を認識しているという事実です。

このような実験結果があります。
目隠しをした被験者数名に、色を教えないまま
赤い部屋と青い部屋に交互にはいってもらうと、
血圧や体温、筋肉の弛緩に明らかな変化が見られました。

赤い部屋に入った被験者は、血圧と体温が上昇し、
筋肉が緊張し、発汗が促進され、
被験者が青い部屋に入ると、血圧と体温が下降し、
筋肉が緩み、発汗が収まったそうです。

自然界では、カメレオンが皮膚で周囲の色を知覚していて、
環境や体調に合わせ変化させることが知られています。

カメレオンの皮膚細胞の中には
白、赤、黄、黒などの色の粒があり、
この色の粒は、外からの光や熱を浴びると、
大きさが変わる仕組みになっているそうです。
そして、大きさの組み合わせがいろいろ変わることで、
結果として、体の色が変わるのだそうです。

このように、皮膚は第二の眼としての機能も
担っているといえそうです。

さて、動物の中で、衣類をまとうのは人間だけ。
日ごろの服が、黒ばかりだったり、
いつも同じ色の服をまとっているならば、
太陽光の決まった波長だけを皮膚から取り込む形となり、
自然からの光の恵みを、十分に受けることができません。

できるだけ、いろいろな色の服を着て、
衣類を通して肌に注ぐ日差しを感じる心地よさを
楽しんでみませんか。

「緑色」をめぐる文明の溝

今日は、落ち着きを感じさせるコーディネートです。
オリーブグリーンは、緑色と黄色を併せ持つ色であり、
オーラソーマでは、「見抜く力」、「他者に対する権力ではなく、
他者を力づける」光線を象徴しているそうです。
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一日がかりのふたつのミーティングのあとで、
明日が納期の仕事にとりかかります。

こんな日は、気ぜわしさを感じる一方、
少しでも関わる人々のお役に立てているのかな、
という充実感を覚えます。

さて、今日は「緑色」について書きます。

みなさんは、普段の暮らしの中で緑色の服を着るでしょうか。

アメリカのカラーコンサルタント、
フェイバー・ビレンによると、

緑色が好きな人は、バランス感覚があり、
目標に向かって確実に歩む人で、
歓談を楽しみ、資産や社会的名声を大切にする人々という
プロフィールがあるそうです。

一方、緑色が嫌いな人は、
心配性や寂しがり屋だったり、
自分のことを正当に評価されていないと感じていたり、
群衆の中での孤独感を覚えていたり
・・・といった特徴があると分析されています。

この「緑色」ほど、国や文化によって
違う気持ちで受け止められている色は
ないのではと思います。

日本では、
大自然の草木の色を連想させる、
癒やしと落ち着きの色。

イスラム世界では、
砂漠の中のオアシスを連想させる、
生命の色。

一転して、ヨーロッパでは緑色に
ネガティブなイメージを抱く人も多いのです。

それは、青色と黄色を混ぜることでしか作れなかった緑色が、
キリスト教世界では、「色光」という神の領域に人間が踏み込む、
冒涜の色とされていたからです。

また、古代から緑色は、
恋の季節である新緑の春を連想させ、
人間が超越できない大自然を連想させたため、
緑色は、ままならない運命に翻弄される色、
ときには不幸の色としてとらえられました。

トランプテーブルの台の色や、
ドル札の色がグリーンであるのも、
ままならない運命に人間を巻き込む、
賭博や金融へのイメージが背景にあるのです。

そして、ヨーロッパにとっては、緑色は
決して征服できなかった
イスラム文化を象徴する色でもあり、
不吉な色としてとらえられていました。

現在では、ヨーロッパでの緑色に対する印象は
自然をイメージさせる色として、
好意的に移りつつあるようですが、
ヨーロッパの人々の、緑色への悪印象は、
依然として残っているようです。

そのような背景から、
映画の主人公が緑色の衣装で知られている、
ピーターパンやロビンフッドは、
つかみどころのなさや、
支配への反抗の象徴であり、
緑色のドレスをまとったヒロインは
運命に翻弄される人物として
描かれているのです。

かたや、中国では、とくに男性にとっては、
緑色は侮辱の色。
緑色の帽子を贈られた男性は、
「私はあなたの奥さんのことを、
深く知っていますよ」という
その暗なるメッセージに、深い怒りを覚えるそうです。

緑色は、日本人にとっては何気なく知覚されているのに、
他国では、まったく違う印象でとらえられている色なのです。