この先、テクノロジーが進化して、
格段に便利な世の中になったとしても、
先進技術が提供できないことがあります。
それは、「思いやり」です。
機械は性能や効果が明確で、
「閉じられた世界」の仕事をきっちりとこなしてくれます。
生産性もコストパフォーマンスも、
機械のほうが人間より高いことが多いでしょう。
しかし、人間が機械を操作する過程で、ミスやトラブルが起こります。
そして、すべての不具合は人間のせい、ということになります。
そこに、「思いやり」は存在しません。
「思いやり」は、想像力とも言い換えられます。
相手がこれだけの発言をするのだから、
なにか理由があるに違いない・・・
この人が待ち合わせに遅れてくるのだから、
きっと事情があるに違いない・・・
この人が職場でこのようにふるまうのは、
きっと訳があるに違いない・・・
そんなふうに、「何かはわからないけれど、相手にもいろいろと事情があるに違いない」と思える懐の深さのお蔭で、新しい気づきを得たり、人の関係が心地よくなったりして、世の中はまるく回っていくのです。
相手を思いやる力を磨くことは、なかなか大変なことですが、
世の中に新しい価値を提供し続けられるのは、
人間の想像する力、思いやる力なのです。
私自身、このことを肝に銘じ続けたいと思います。