私のおしゃれ上手な友人が、
おでかけ途中の乗り換え駅でホームにいた時。
通りすがりの女性に、声をかけられたそうです。
遠慮がちに「あのう、」と話しかけてきたその方が
次に話したことは、
「今、着ていらっしゃるその服って、
○年前に出たものですよね?」
思いがけないひと言に、友人は
返す言葉を失ってしまったそうです。
馴染みのあるブランドをまとう友人に
親しみを込めて話しかけたつもりなのか、
その装いが、時代遅れだということを
伝えてあげたかったのか・・・
先方が何を伝えたかったのか、
聞いた私にも、上手くくみ取ることができません。
常に流行に敏感でいて、
自分なりに装いの中に取り入れている人を見ると、
時代に合わせて自分磨きを怠らない、
ストイックな人に思えます。
それは、素晴らしいことです。
でも、ファッションは、人となりの表現手段。
そこに割り切れるような正解などないと、
私は思うのです。
例えば、10年以上前に流行した、
ジョン・ガリアーノによる
ディオールのいかり肩のジャケットも、
すでに流行遅れでしょうが、
今の時代に着ることもできます。
大切なのは、その人に似合っているのかどうか。
その人の体型や色みとの組みあわせで、
気になるパーツを隠して、気に入っているパーツを
アピールできるかどうかではないでしょうか。
誰かと競い合うファッションも刺激的ですが、
人はみんな、神様の分身。
役目があってここにいるのだから、
人間としての優劣など、どんな人にもありません。
自分らしく、心地よいファッションを極めることで、
自分を大切にすることができて、
一人ひとりの強くしなやかな内面が一層、
輝くように思います。